今年の夏も本当に暑いですね。日中はエアコンや扇風機で涼しく過ごせても、夜になってもムシムシと暑さが続く「熱帯夜」にはうんざりしている方も多いのではないでしょうか?
「熱帯夜ってよく聞くけど、そもそも何のこと?」 「いつ頃から言われるようになった言葉なの?」 「本当に熱帯地方みたいに暑いの?」
そんな疑問をお持ちのあなたに、今回は「熱帯夜」について詳しくご紹介します。
そもそも「熱帯夜」って、どんな夜のこと?
「熱帯夜」という言葉、実は気象庁によって明確に定義されています。
それは…
「夜間の最低気温が25℃以上の夜」
のことなんです!
日中の最高気温が30℃を超える「真夏日」や35℃を超える「猛暑日」に比べると、夜間の気温なのでピンとこないかもしれませんが、私たちの体にとってはかなり負担のかかる気温です。寝苦しさを感じたり、なかなか寝付けなかったりするのは、まさにこの25℃以上という気温が影響しているからなんです。
「熱帯夜」という言葉は、いつ頃から使われているの?
この「熱帯夜」という言葉が一般的に使われるようになったのは、比較的最近のことです。
日本の気象庁が公式に定義しているのは1960年代からですが、一般に広く使われるようになったのは1970年代後半、特に1978年頃と言われています。この頃から、都市化によるヒートアイランド現象や、エアコンの普及など、私たちの生活環境が変化したことで、夜間の暑さがより身近な問題として意識されるようになったことが背景にあると考えられます。
それ以前は、主に気象専門家の間で使われる用語だったようですが、メディアで取り上げられる機会が増え、エアコンや電気料金、睡眠障害など、熱帯夜が私たちの生活に与える影響が語られるようになり、一気に一般用語として定着しました。
もしかしたら、「最近は『熱帯夜』という言葉をあまり聞かなくなったな…」と感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。テレビなどメディアで「熱帯夜」という言葉が使われる頻度は、時期や番組によって変動があるかもしれませんが、気象庁の定義としては現在も変わらず使われている言葉です。 また、「非常に厳しい暑さ」「寝苦しい夜」といった、より直接的な表現が使われる機会が増えたことも、そう感じさせる一因かもしれませんね。
「熱帯夜」は、本当に熱帯地方と同じくらいの気温なの?
「熱帯」と聞くと、ジャングルやヤシの木が茂る南国のイメージを思い浮かべる方も多いかもしれませんね。熱帯地方の気温は、年間を通して高いのが特徴です。例えば、シンガポールの年間の平均気温は27℃前後、最低気温でも23℃を下回ることはほとんどありません。
一方、日本の熱帯夜は最低気温が25℃以上ですので、確かに熱帯地方の夜の気温に近いと言えます。しかし、熱帯地方のように一年中その気温が続くわけではなく、日本の夏特有の現象と言えるでしょう。
特に、近年は地球温暖化の影響や都市部のヒートアイランド現象により、熱帯夜の日数が増加傾向にあります。これは、コンクリートやアスファルトが日中の熱を蓄え、夜になってもなかなか冷めないため、都市部ではより顕著に熱帯夜が発生しやすくなっているためです。
エアコンのつけすぎが、さらなる暑さを生む?
熱帯夜を乗り切るためにエアコンは欠かせない存在ですが、実はエアコンの使いすぎが、私たちの住む地域の気温をさらに上げてしまうという側面もあります。
エアコンは、室内の熱を吸い取って冷たい空気を送り出す代わりに、その熱を室外機から外に排出しています。都市部で多くの家庭やビルが同時にエアコンを使うことで、大量の排熱が街中に放出され、これがヒートアイランド現象をさらに加速させてしまうのです。
つまり、
- 夜になっても暑い(熱帯夜)
- エアコンを使う
- エアコンの排熱でさらに街が暑くなる
- もっとエアコンを使う… という、悪循環に陥ってしまう可能性があるのです。
だからといって、我慢してエアコンを使わないのは熱中症の危険が高まり大変危険です。大切なのは、エアコンを賢く使うことです。
熱帯夜を快適に乗り切るために
熱帯夜は寝苦しさだけでなく、熱中症のリスクも高めます。特にシニア世代の方は、ご自身でも気づかないうちに体力が奪われていることがありますので、十分な注意が必要です。
- エアコンを上手に使う: 就寝前に部屋をしっかり冷やし、タイマー機能を活用して快適な室温を保ちましょう。設定温度は26~28℃を目安に、体調に合わせて調整してください。寝ている間の「つけっぱなし」が不安な場合は、タイマーを3時間~4時間程度に設定し、眠りが深くなる時間帯だけでも冷房を効かせるのがおすすめです。
- 扇風機やサーキュレーターを活用: エアコンと併用することで、冷気を効率よく循環させることができます。直接体に風が当たらないように、壁や天井に向けて使うのがおすすめです。
- 寝具を工夫する: 吸湿性や通気性の良いパジャマやシーツを選びましょう。ひんやり素材の寝具も活用するのも良いですね。
- 水分補給をこまめに: 寝る前や夜中に目が覚めた時にも、意識的に水分を摂りましょう。枕元に飲み物を置いておくのがおすすめです。
- ぬるめのシャワーや足湯: 寝る前にぬるめのお湯でシャワーを浴びたり、足湯をしたりすると、リラックス効果もあり、寝つきが良くなることがあります。
今年の夏も、日本近海の海水温は上昇していますので、暑い日が続きます。きっと7.8月が終わっても、気温が下がらず夜は寝苦しいことでしょう。熱帯夜について正しく理解し、無理なく快適に過ごす工夫をして、この暑さを乗り切りましょう!






