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2025[Wed]
06.04

「要支援」と利用できる行政サービス

健康なくらし日々雑感


皆さま、こんにちは。

今回は、私たちシニア世代が安心して健やかに毎日を送る上で、ぜひ知っておいていただきたい「要支援」という状態と、その際に利用できる行政サービスについてお話ししたいと思います。

「要支援」と聞くと、少し身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、これは「介護が必要な状態」ではなく、「介護が必要にならないように予防していく状態」を指します。元気なうちから知識を蓄え、上手に活用することで、より長く自分らしい生活を送ることができます。

「要支援」になる平均年齢って?

要支援になる平均年齢について、明確な全国平均のデータは個別の調査によって異なりますが、例えば東京都台東区の調査では、要支援認定者の平均年齢は81.0歳という結果が出ています。(参照:台東区「第4章 要支援・要介護認定者調査の結果」より)

ただし、これはあくまで一例であり、個人差が大きいことをご理解ください。中には60代、70代で要支援となる方もいれば、90歳を超えても元気に自立した生活を送っている方もいらっしゃいます。

厚生労働省の「介護保険事業状況報告」や「国民生活基礎調査」などのデータからは、年齢が高くなるにつれて要支援・要介護認定を受ける方の割合が顕著に増加する傾向が見られます。特に、75歳以上、85歳以上と年齢が上がるごとに、要介護認定を受ける方の割合は大きく上昇します。

また、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)と平均寿命には差があり、一般的にその差が介護や支援を必要とする期間の目安となります。2019年時点の健康寿命は、男性72.68歳、女性75.38歳となっており、多くの方が70代後半から何らかの支援を必要とし始める可能性があると言えます。

【健康寿命の出典】 この健康寿命の数値は、厚生労働省が公表した「健康寿命の令和元年値について」に基づいています。

「要支援」とは?

要支援とは、日常生活において、見守りや一部介助があれば自立できる状態を指します。具体的には、以下のような状態が該当します。

  • 要支援1: 基本的に自分で日常生活を送れるが、立ち上がりや歩行などに少し不安がある、家事の一部に手助けが必要となる場合。
  • 要支援2: 要支援1よりは少し手助けが必要な場面が増えるが、まだ介護までは必要としない状態。例えば、入浴や着替えに一部介助が必要となる場合など。

要支援は、今後介護が必要な状態にならないように、介護予防サービスなどを利用して身体機能の維持・向上を目指す段階と位置づけられています。

要支援の方が受けられる行政サービス

要支援の認定を受けると、介護保険制度に基づいた様々な行政サービスを利用することができます。これらのサービスは、住み慣れた地域で安心して生活を続けるための大きな支えとなります。

主なサービスは以下の通りです。

1. 介護予防サービス

要支援の方が利用できるサービスの中心です。地域包括支援センターが中心となって、一人ひとりの状態や希望に合わせたケアプランを作成し、以下のようなサービスを提供します。

  • 介護予防訪問介護: ホームヘルパーが自宅を訪問し、買い物や調理、掃除など、生活に必要な家事を支援します。
  • 介護予防通所介護(デイサービス): デイサービスセンターなどに通い、入浴や食事の提供、レクリエーション、機能訓練などを受けます。他者との交流の場にもなります。
  • 介護予防通所リハビリテーション(デイケア): 医療機関や介護老人保健施設などで、理学療法士や作業療法士などによる専門的なリハビリテーションを受けます。
  • 介護予防福祉用具貸与: 手すり、歩行器、車いすなどの福祉用具をレンタルできます。
  • 介護予防特定福祉用具購入費の支給: 入浴補助用具や簡易浴槽など、貸与になじまない特定の福祉用具を購入する際に費用の一部が支給されます。
  • 介護予防住宅改修費の支給: 手すりの取り付け、段差の解消など、自宅を安全に改修する費用の一部が支給されます。

2. 地域支援事業

介護保険制度には、要支援認定者だけでなく、すべての高齢者を対象とした介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)というものもあります。

  • 介護予防・生活支援サービス事業: 各市町村が主体となって実施しており、例えば、配食サービスや見守りサービス、地域のボランティアによる生活援助サービスなど、地域の実情に応じた多様なサービスが提供されます。
  • 一般介護予防事業: 地域の高齢者サロンや体操教室、健康講座など、要介護状態になることを予防するための様々な取り組みが行われています。どなたでも参加できるものが多く、気軽に利用できます。

【地域での取り組み例】

各自治体では、高齢者の皆さんが元気で暮らし続けられるよう、地域の実情に合わせた様々な介護予防の取り組みを行っています。

例えば、四日市市では、高齢者の健康寿命の延伸に特に力を入れており、「健康マイレージ」制度を導入し、健康診査の受診や介護予防教室への参加などでポイントを貯め、商品券などと交換できる仕組みを設けています。また、地域での体操教室や交流の場を積極的に増やし、高齢者が楽しみながら健康づくりに取り組めるよう支援しています。

津市においても、地域の公民館やコミュニティセンターなどを活用した「いきいき百歳体操」をはじめとする運動教室や、口腔機能向上、栄養改善に関する教室が開催されており、住み慣れた地域で気軽に介護予防に取り組める環境が整備されています。

お住まいの地域でも、こうしたきめ細やかなサービスや活動が行われているはずですので、ぜひ市のホームページを確認したり、地域包括支援センターに問い合わせてみたりしてください。

サービスの利用の流れ

  1. お住まいの市町村の窓口または地域包括支援センターに相談: まずはお近くの市町村の介護保険担当窓口、または地域包括支援センターに相談しましょう。そこで、ご自身の状況や不安なことなどを伝えます。
  2. 要介護・要支援認定の申請: 相談後、サービスの利用を希望する場合は、要介護・要支援認定の申請を行います。申請後、訪問調査や主治医の意見書などに基づいて、要支援1、要支援2、または要介護のいずれかに認定されます。
  3. ケアプランの作成: 要支援の認定を受けた場合、地域包括支援センターの担当者(保健師や社会福祉士など)が、ご本人やご家族の意向を踏まえながら、どのようなサービスを、どれくらいの頻度で利用するかといった「ケアプラン」を作成します。
  4. サービスの利用開始: ケアプランに基づいて、必要なサービスを利用することができます。

まとめ

「要支援」は、あくまで「介護予防」の段階です。早期に適切なサービスを利用することで、ご自身の健康寿命を延ばし、より活動的で充実したシニアライフを送ることができます。

もし、最近少し体の衰えを感じる、家事をするのが億劫になってきた、将来のことが少し不安…と感じるようでしたら、一人で抱え込まず、お近くの市町村窓口や地域包括支援センターに気軽に相談してみてください。専門のスタッフが親身になって相談に乗ってくれます。

私たち一人ひとりが、健やかに、そして安心して歳を重ねていけるよう、これからも役立つ情報をお届けしていきます。

シニア向け住宅アドバイザー ライター:添田 浩司

安心安全な住まい、日々の健康や、自分らしい暮らしに役立つ情報、地域の話題などを配信していきます。

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