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2025[Thu]
10.09

まろやかな甘みの四日市名産「かぶせ茶」をご存知ですか?

日々雑感

先日、四日市市役所のロビーで、無料のお水とお茶の試飲マシーンを見つけました。そこで「かぶせ茶」とボタンがあり、何気なく押して飲んでみたら、実に美味しかったんです。

一口飲むと、まろやかな甘みと、どこか海苔のような豊かな香りがふわり。煎茶のような爽やかさもありつつ、玉露のような深い旨味も感じられました。

今日は、私が感動した三重県四日市市の特産品、「かぶせ茶」の魅力についてお話しします。


豆知識:「伊勢茶」と「かぶせ茶」の違いって何?

まず、このお茶の立ち位置を明確にしておきましょう。

実は、とてもシンプルな関係です。

名称分類意味
伊勢茶産地ブランド名三重県内で作られたお茶の総称です。煎茶、深蒸し茶、かぶせ茶など、すべて「伊勢茶」に含まれます。
かぶせ茶お茶の種類(製法)収穫前に日光を遮る製法で作られたお茶です。全国で生産されていますが、三重県が全国一の産地です。

つまり、四日市市水沢地区で作られた「かぶせ茶」は、「伊勢茶」という大きなブランドの中の、最も特徴的な種類なのです。

三重県は、この四日市周辺の昼夜の寒暖差や、鈴鹿川から立ち上る朝霧が、茶葉に天然の覆いとなり、かぶせ茶の「旨み」をより一層引き出すという、絶好の環境を持っています。伊勢茶の生産者は、この恵まれた環境を活かし、「かぶせ茶」を伊勢茶の代表的な顔として打ち出している、というわけです。


「かぶせ茶」ってどんなお茶?甘さの秘密は「テアニン」にあり

「かぶせ茶」は、お茶の葉を摘む直前、おおよそ1〜2週間ほど、茶畑を黒い布(寒冷紗)で覆って日光を遮って育てるのが最大の特徴です。

なぜわざわざ日光を遮るのでしょうか?

太陽の光をたっぷり浴びて育つと、お茶の渋み成分であるカテキンが増えます。一方で、日光を遮ると、葉の中で旨み・甘み成分であるテアニンが渋み成分に変化するのを防ぐことができます。

かぶせ茶は、短い期間だけ日光を「かぶせる」ことで、最高級茶の玉露と、最も一般的な煎茶の「いいとこ取り」を実現しています。

お茶の種類日光の遮光期間味わいの特徴
玉露長期間(約20日以上)濃厚な旨みと強い甘み。
かぶせ茶短期間(7〜14日程度)玉露のような旨みと煎茶のような飲みやすさの好バランス。
煎茶遮光しない爽やかな渋みと香り。

私が市役所で飲んで「玉露と煎茶の間みたい」と感じたのは、まさにこのため。渋みが少なく、まろやかで深いコクがあり、普段お茶を飲まない方でも「美味しい」と感じやすいお茶です。


生産量「日本一」のお茶どころ、四日市市

先ほど、三重県は「お茶どころ」だとお伝えしましたが、具体的なデータを見ると、そのすごさがよく分かります。

「荒茶」と呼ばれる、仕上げ加工前の段階のお茶の生産量で比較した、日本の主な茶産地の最新ランキングをご覧ください。

順位都道府県荒茶生産量(直近データ)特徴的なお茶の種類
第1位鹿児島県約27,000トン煎茶(新茶の早摘み)
第2位静岡県約27,200トン煎茶(歴史ある大産地)
第3位三重県約5,220トンかぶせ茶(全国1位)
第4位宮崎県約2,940トン煎茶、釜炒り茶
第5位京都府約2,640トン抹茶(碾茶)、玉露

ご覧の通り、三重県は、生産量で飛び抜けた静岡県と鹿児島県に次いで、常に全国第3位の座を占める、れっきとした大産地なのです。

そして、この三重県が他県と決定的に違うのが、「かぶせ茶」の生産量です。

三重県が全国で生産されるかぶせ茶の約3分の2(約64%)を占めているのです。これは、四日市市水沢地区を中心とする北勢地域が、量と質の両面で「かぶせ茶」に特化し、ブランドを築いてきた証拠です。


「かぶせ茶」の新しい楽しみ方

四日市のかぶせ茶は、その旨み成分(テアニン)の多さから、特に「水出し」との相性が抜群です。

低温でじっくり抽出することで、熱いお茶では感じにくい雑味のない、濃厚な甘みが引き出されます。お湯を沸かす手間もいりませんし、水筒に茶葉と氷水を入れておくだけで、いつでも手軽に、栄養満点の冷たいお茶が楽しめます。

さらに、かぶせ茶は、飲み終わった後にも楽しみがあります。

煎茶や玉露の約7割の栄養素(ビタミンA、E、食物繊維など)は、水に溶けずに茶殻に残ってしまうのをご存知でしたか? 上質なかぶせ茶の茶葉はとても柔らかいので、お茶を淹れた後の茶殻にポン酢や醤油を少しかけて食べる**「茶葉のおひたし」がおすすめです。旨みが残っていて、まるでほうれん草のおひたし**のような食感で、美味しく栄養も摂れますよ。

お近くにお住まいの方や、四日市方面へお出かけの際は、ぜひこの「かぶせ茶」を味わってみてください。いつものお茶の時間を、一層豊かなものにしてくれるかもしれませんね。




シニアライフアドバイザー ライター:添田 浩司

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