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2025[Sun]
06.15

円光寺の沙羅双樹と歴史を訪ねて

名所旧跡日々雑感

しとしとと雨が降るこの時期、いかがお過ごしでしょうか。津市にある円光寺の沙羅双樹(さらそうじゅ)が、もうじき見頃を迎えます。先日、私も訪れてみたところ、すでに多くのシニアの方々が、この美しい花を心待ちにされているようでした。中には、大きなカメラを構えたプロの様な写真家の方も見かけました。




シルクのよう、沙羅双樹のつぼみ

円光寺で私たちが目にするのは、多くの場合「夏椿(ナツツバキ)」と呼ばれる花です。本来の沙羅双樹(サラノキ)はインド原産の熱帯性の植物で、寒さに弱いため、日本では気候の似た夏椿が代用として親しまれています。

この沙羅双樹、花も美しいですが、ぜひ注目していただきたいのが、開花を待つつぼみです。白くてぷっくりとしたつぼみは、まるでシルクのような、なめらかな手触りを感じさせます。繊細で愛らしいその姿は、目に焼き付けておきたい美しさです。お寺の植物は大切にされていますので、遠くからそっと眺めて、その質感を感じてみてくださいね。


この沙羅双樹は、仏教において非常に重要な意味を持つ「三大聖樹」の一つです。お釈迦様が亡くなられた(入滅された)際に、沙羅の木が四方を囲み、その木が悲しむかのように枯れて鶴の羽根のように白くなったという伝説があります。この「一日花」である沙羅双樹が朝に咲き、夕には散る姿は、「諸行無常(この世のすべてのものは、生じたり変化したり滅したりして、永遠不変のものはない)」という仏教の教え、つまり「はかなさ」を象徴していると言われています。散り際の花びらが地面に敷き詰められる光景は、その無常の美しさを静かに物語ってくれます。



由緒ある円光寺の歴史と沙羅双樹を植えた理由

円光寺は、1358年(室町時代初期)に創建されたと伝えられる、臨済宗東福寺派の由緒あるお寺です。古木に囲まれ、厳粛な風情が漂う境内は、長い歴史を感じさせます。

特筆すべきは、戦国時代の歴史との繋がりです。あの織田信長の妹・お市の方とその三人の娘(茶々、初、江)が、信長の弟・織田信包(のぶかね)の居城であった上野城(現在の津市河芸町上野)に身を寄せた際、この円光寺にたびたび参詣し、亡き夫・浅井長政の菩提を弔ったとされています。激動の時代を生きた人々が、この場所で心の平安を求めたかと思うと、さらに感慨深いものがあります。


では、なぜこの円光寺に沙羅双樹が植えられたのでしょうか。 円光寺に沙羅双樹(夏椿)が植えられたのは、昭和40年頃(1965年頃)のことと伝えられています。当時の住職が、仏教の聖なる花である沙羅双樹を境内に植え、多くの人々にその美しい姿を通じて「諸行無常」の教えや、心の安らぎを感じてもらいたいという願いを込めたのがきっかけだそうです。今ではこの時期の名物となり、多くの参拝客を魅了しています。

心安らぐひとときを円光寺で

円光寺は、静かで落ち着いた雰囲気のお寺です。都会の喧騒を離れ、沙羅双樹の白い花を眺めていると、心がすっと軽くなるのを感じます。梅雨の時期は、外出が億劫になりがちですが、しっとりとした空気の中で咲く沙羅双樹は、この時期ならではの特別な美しさです。プロのカメラマンが熱心にシャッターを切っているのを見ると、やはりそれだけ魅力的な被写体なのだと改めて感じます。

ぜひ、この機会に円光寺を訪れて、歴史と美しい花々が織りなす空間で、心安らぐひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。


円光寺へのアクセス

  • 住所: 〒510-0304 三重県津市河芸町上野2861
  • 車でのアクセス:
    • 伊勢自動車道「津IC」からお車で約25分です。
    • 無料駐車場が約50台分ございます。ゆったりと駐車できますが、沙羅双樹の見頃の時期や週末・祝日は混雑する可能性もありますので、時間に余裕を持ってお出かけください。混雑時には臨時駐車場が設けられる場合もあります。


シニア向け住宅アドバイザー ライター:添田 浩司

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