(お電話受付時間/9:00~18:00)0120-802-303
Magazine
読み物
2025[Tue]
10.21

夜の転倒事故を防ぐための照明術(あかりの日後編)

安全な暮らし転ばぬ先の杖今日は何の日日々雑感


前編では電気のあかりのありがたみを再確認しました。現代では、明るい照明があるのが当たり前ですが、この「あかり」を正しく使わないと、私たちシニア世代の暮らしに潜む大きな危険につながることがあります。今回は、ご自宅の「暗さ」が引き起こすリスクを具体的なデータで検証し、安全を守るための照明対策をご紹介します。

データが示す深刻なリスク:家庭内事故の現状

シニア世代にとって、最も警戒すべきは家の中で発生する転倒事故です。その危険性は、私たちが想像する以上です。

厚生労働省の「人口動態調査」(令和3年)と消費者庁のデータから、驚くべき現状が見えてきます。

事故の種類65歳以上の年間死亡者数(令和3年)交通事故の比較
転倒・転落・墜落9,509人交通事故(2,150人)の約4倍以上
不慮の窒息7,246人
浴槽での溺水4,750人

このデータからもわかる通り、高齢者の「転倒・転落・墜落」による死亡者数は、交通事故の約4倍にも上り、家の中の事故が命に関わる深刻なリスクとなっています。

消費者庁によれば、転倒事故は入院や通院を必要とする重い怪我につながりやすく、これが介護が必要となる主な要因の一つとなっています。

特に「あかり」の不足が危険を高める場所として、以下の点に注意が必要です。

  • 同一平面上の転倒: 転倒による死亡者の約8割は、段差のない居室や寝室で起きています。わずかな影や、敷物の端、コードなどにつまずくリスクが、暗さと視力の衰えによって見えにくくなるためです。
  • 階段: 転落による重大事故に繋がりやすく、「落ちる」事故全体の約5割を階段が占めています。夜中の移動時、足元が暗いと段差の境目が見えにくくなり、大事故につながりやすい場所です。

進化した現代の照明と安全のための選択

エジソンの発明から100年以上が経ち、照明は私たちの「安全」を確保するための強力なツールとなりました。事故が多発する場所には、最新の技術を活用した以下の対策を講じましょう。


対策おすすめの場所効果・ポイント
足元灯(フットライト)の活用廊下、階段、寝室の足元夜間も優しく足元を照らし続け、段差や障害物が見えやすくなります。人感センサー付きのものは、夜中の移動時の安全を確保し、消し忘れもありません。
人感センサー付き照明玄関、廊下、トイレ人の動きを感知して自動で点灯するため、スイッチを探す手間が不要になり、転倒リスクを減らします。
LED電球への切り替え家中すべて長寿命で明るさが持続し、電気代も安価です。家中をムラなく明るく保つことで、居室内のわずかな影や、敷物の端などの「つまずきの原因」を見つけやすくします。
色温度の工夫と「眩しさ」の回避寝室、リビング急激な光の増減や、直接目に入る強い光は、一瞬の眩しさでバランスを崩す原因になります。光が直接目に入らないシェード付きの照明を選び、寝室では目に優しい温かみのある光(電球色)を選びましょう。

特に事故の多い「階段」「廊下」には、足元灯の設置と併せて、明るい照明で空間全体の明るさを確保し、二重の安全対策を講じることが重要です。

エジソンがもたらしてくれた電気のあかりは、今や私たちの「安全」を守る必需品です。

高齢者の「転倒・転落・墜落」による死亡者数は、交通事故の約4倍。この事実を重く受け止め、「あかりの日」をきっかけに、ぜひご自宅の階段や廊下など、暗くなりがちな場所を点検してみてください。適切な照明で安心・安全な空間を作り、快適で健やかな秋の夜長を楽しみましょう。

シニアライフアドバイザー ライター:添田 浩司

安心安全な住まい、日々の健康や、自分らしい暮らしに役立つ情報、地域の話題などを、様々な視点から配信していきます。

アーカイブ