10月に入り、朝晩の肌寒さと日中の残暑が混在する、典型的な「季節の変わり目」ですね。
「なんだか疲れが取れない」「夜中に目が覚める」「だるさが抜けない」といった不調を感じていませんか?
その不調は、体の司令塔である自律神経の乱れかもしれません。特に体温調節機能が低下しがちなシニア世代こそ、意識的なケアが大切です。
今回は、自律神経の仕組みを理解し、秋の寒暖差に負けない体を作るための簡単な生活習慣をご紹介します。
「アクセル」と「ブレーキ」の仕組みを理解しよう
私たちの体には、内臓の働きや体温などを自動で調整してくれる自律神経があります。これは、車の運転に例えると非常に分かりやすいです。
| 神経 | 車の例え | 主な働き |
| 交感神経 | アクセル | 活動・緊張モード。心拍数や血圧を上げ、体を興奮・活動状態にする。 |
| 副交感神経 | ブレーキ | 休息・回復モード。心拍数を下げ、体をリラックスさせて内臓の働きや睡眠を促す。 |
なぜ秋の寒暖差で自律神経が乱れるのか?
10月上旬の激しい寒暖差は、私たちを疲れさせます。
急な気温の変化があると、体は体温を一定に保つために、無意識のうちに「アクセル(交感神経)」をフル稼働させます。その結果、交感神経が優位になりすぎてしまい、夜になっても「ブレーキ(副交感神経)」に切り替えられず、休息モードに入りにくい状態になってしまいます。
特にシニア世代は、加齢とともに「ブレーキ」の効きが悪くなりやすいため、知らず知らずのうちに「アクセル踏みっぱなし」の状態になりがちです。これが「秋バテ」やだるさ、不眠の原因です。
「ブレーキ」の効きを良くする!3つの簡単な習慣
意識的に「副交感神経(ブレーキ)」を優位にするための、今日からできる優しい習慣を3つご紹介します。
① ぬるめのお風呂でリラックス
熱いお湯(42℃以上)は交感神経を刺激してしまいます。
- 38℃~40℃のぬるめのお湯に、10~15分かけてゆっくり浸かりましょう。
- ぬるめのお湯は副交感神経を優位にし、心身の緊張をほぐします。入浴で体の中心温度を上げ、寝る頃に体温が下がることで、質の高い睡眠につながります。
② 朝日を浴びてリズム運動をする
体内時計をリセットし、セロトニン(幸せホルモン)の分泌を促しましょう。
- 起床後すぐにカーテンを開けて日光を浴びる習慣をつけましょう。
- ウォーキングやラジオ体操、軽いストレッチなど、一定のリズムで繰り返す運動を続けると、自律神経が整いやすくなります。
③ 「2つの首」を冷やさない工夫
急な冷え込みから体を守り、血流の滞りを防ぐことが大切です。
- 太い血管が通っている「首」(首筋)と「足首」を温めましょう。
- 日中はスカーフやストール、朝晩はレッグウォーマーなどを活用すると、全身の血流が良くなり、冷えやだるさの予防につながります。
食事で神経の材料を補給する
自律神経を安定させるためには、その働きをサポートする栄養素も欠かせません。
特に意識して摂りたいのが、神経伝達物質の材料となる良質なタンパク質や、脳の働きを助ける脂質です。
- タンパク質:肉、魚、卵、大豆製品、乳製品を毎食しっかり取り入れましょう。
- 秋の青魚:サンマやイワシなど秋が旬の青魚に豊富なDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)は、神経の働きを助け、自律神経の乱れや気分の落ち込みを和らげる効果も期待できます。
知らず知らずのうちに頑張っている自分の体に、意識的に「休息のブレーキ」をかけてあげること。これが、この秋を元気に乗り切るための最大の秘訣です。心地よい秋の暮らしを楽しみましょう。






