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2025[Fri]
10.24

自宅に潜む事故:リモコン一つで大怪我に?

高齢者のすまい安全な暮らし転ばぬ先の杖日々雑感


皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。

実は先日、私、とんだ大失敗をやらかしてしまいました。自宅のリビングで、床に落ちていたテレビのリモコンに足を取られ、派手に転倒してしまったのです。


「軽い転倒だろう」と高をくくっていましたが、肘を強く打ち、3日経っても痛みが引かず、日常生活を送るのも一苦労です。たった一つのリモコンが、これほど生活を脅かす事故のきっかけになるとは、本当に思いもよりませんでした。

最も安心できるはずの「自宅」にこそ、私たちシニア世代の大きな危険が潜んでいます。今回は私の『痛い経験』を教訓に、公的なデータに基づき、自宅の安全について一緒に考えてみましょう。


転倒は交通事故よりずっと怖い

自宅での転倒が、どれほど深刻な問題かご存知でしょうか。まずは、公的な統計データから、その現実を見てみましょう。

🚨 知っておきたい2つの衝撃的な事実

【事実1】高齢者の事故は「自宅」が圧倒的多数

高齢者の不慮の事故は、交通事故など屋外で起きるものをイメージしがちですが、統計は逆の結果を示しています。

  • 高齢者の事故の約70%は、最も身近なはずの「住宅内」で発生しています。(出典:内閣府 高齢社会白書など)

【事実2】転倒・転落は「交通事故の4倍以上」

さらに深刻なのが、その結果です。

  • 65歳以上の不慮の事故による死亡者数は、「転倒・転落・墜落」が最も多く、その数は交通事故による死亡者の実に『4倍以上』にのぼります。(出典:厚生労働省 人口動態調査など)

そして、その転倒の8割以上は、私のようにリモコンやコード、絨毯のめくれなど、『同一平面上でのつまづき』が原因なのです。


統計で見る!自宅で事故が多い場所と怪我の状況

① 高齢者の「ころぶ」事故(転倒)が多い場所ランキング

東京消防庁の救急搬送データを見ると、転倒事故はくつろぐ場所で多く発生しています。

順位事故発生場所(住宅内)救急搬送人員(令和3年中)
1位居室・寝室(リビング)22,333人
2位玄関・勝手口等2,988人
3位廊下・縁側・通路2,059人
4位トイレ・洗面所955人
5位台所・調理場・ダイニング889人
(出典:東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」)

② 高齢者が転倒・転落した際に負いやすい傷害の種類

転倒事故は、骨折など重い怪我につながりやすいのが特徴です。(※複数回答ありの調査結果)

順位傷害の種類転倒・よろめきによる発生割合
1位打撲(うちみ)43.9%
2位擦り傷32.1%
3位骨折30.7%
4位ねんざデータなし
(出典:消費者庁「高齢者の事故防止等に関するアンケート調査報告書」より転倒・よろめき事故の結果を抜粋)

今すぐ実行!「転倒予知」リビング安全パトロール

私の経験や「配線コード」に引っかかる別の事故例も参考にしながら、今すぐできる「リビング安全パトロール」のチェックリストをご紹介します。

危険箇所のポイント対策のヒント
最重要】床に落ちている「小さな危険物」リモコン、眼鏡、新聞、雑誌などは、使用後すぐに定位置(専用の箱やラック)にしまう習慣をつけましょう。
【盲点】配線コード・延長コードテレビや充電器のコードは、壁沿いに固定するか、専用のコードカバーで覆い、足に引っかからないようにしましょう。
敷物・ラグラグや玄関マットの端がめくれていないか確認し、裏に滑り止めシートやテープを必ず使いましょう。
暗がり・照明夜間、トイレに行く動線など、足元が暗い場所に人感センサー付きのフットライトを設置し、足元を確保しましょう。
立ち上がりの補助ソファや椅子から立ち上がる際、掴まることのできる安定した家具があるか確認しましょう。

小さな注意で「いつまでも元気」を守る

私の肘の痛みは、たまたま軽い打撲で済みましたが、一歩間違えれば骨折や、最悪の場合、寝たきりにつながる事故でした。

自宅での転倒を防ぐことは、単に怪我を防ぐだけでなく、「いつまでも自立した生活を送る」ために最も重要な予防策です。

「私は大丈夫」という油断こそが、最大の敵です。この記事を読み終えたら、ぜひ一度、ご自宅のリビングを「危険予知」の目でチェックしてみてください。

小さな安全対策の積み重ねが、私たちの未来を守ります。どうぞ、ご自身とご家族の安全のために、無理せず、できることから始めていきましょう。


シニアライフアドバイザー ライター:添田 浩司

安心安全な住まい、日々の健康や、自分らしい暮らしに役立つ情報、地域の話題などを、様々な視点から配信していきます。

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