皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。
実は先日、私、とんだ大失敗をやらかしてしまいました。自宅のリビングで、床に落ちていたテレビのリモコンに足を取られ、派手に転倒してしまったのです。

「軽い転倒だろう」と高をくくっていましたが、肘を強く打ち、3日経っても痛みが引かず、日常生活を送るのも一苦労です。たった一つのリモコンが、これほど生活を脅かす事故のきっかけになるとは、本当に思いもよりませんでした。
最も安心できるはずの「自宅」にこそ、私たちシニア世代の大きな危険が潜んでいます。今回は私の『痛い経験』を教訓に、公的なデータに基づき、自宅の安全について一緒に考えてみましょう。
転倒は交通事故よりずっと怖い
自宅での転倒が、どれほど深刻な問題かご存知でしょうか。まずは、公的な統計データから、その現実を見てみましょう。
🚨 知っておきたい2つの衝撃的な事実
【事実1】高齢者の事故は「自宅」が圧倒的多数
高齢者の不慮の事故は、交通事故など屋外で起きるものをイメージしがちですが、統計は逆の結果を示しています。
- 高齢者の事故の約70%は、最も身近なはずの「住宅内」で発生しています。(出典:内閣府 高齢社会白書など)
【事実2】転倒・転落は「交通事故の4倍以上」
さらに深刻なのが、その結果です。
- 65歳以上の不慮の事故による死亡者数は、「転倒・転落・墜落」が最も多く、その数は交通事故による死亡者の実に『4倍以上』にのぼります。(出典:厚生労働省 人口動態調査など)
そして、その転倒の8割以上は、私のようにリモコンやコード、絨毯のめくれなど、『同一平面上でのつまづき』が原因なのです。
統計で見る!自宅で事故が多い場所と怪我の状況
① 高齢者の「ころぶ」事故(転倒)が多い場所ランキング
東京消防庁の救急搬送データを見ると、転倒事故はくつろぐ場所で多く発生しています。
| 順位 | 事故発生場所(住宅内) | 救急搬送人員(令和3年中) |
| 1位 | 居室・寝室(リビング) | 22,333人 |
| 2位 | 玄関・勝手口等 | 2,988人 |
| 3位 | 廊下・縁側・通路 | 2,059人 |
| 4位 | トイレ・洗面所 | 955人 |
| 5位 | 台所・調理場・ダイニング | 889人 |
| (出典:東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」) |
② 高齢者が転倒・転落した際に負いやすい傷害の種類
転倒事故は、骨折など重い怪我につながりやすいのが特徴です。(※複数回答ありの調査結果)
| 順位 | 傷害の種類 | 転倒・よろめきによる発生割合 |
| 1位 | 打撲(うちみ) | 43.9% |
| 2位 | 擦り傷 | 32.1% |
| 3位 | 骨折 | 30.7% |
| 4位 | ねんざ | データなし |
| (出典:消費者庁「高齢者の事故防止等に関するアンケート調査報告書」より転倒・よろめき事故の結果を抜粋) |
今すぐ実行!「転倒予知」リビング安全パトロール
私の経験や「配線コード」に引っかかる別の事故例も参考にしながら、今すぐできる「リビング安全パトロール」のチェックリストをご紹介します。
| 危険箇所のポイント | 対策のヒント |
| 【最重要】床に落ちている「小さな危険物」 | リモコン、眼鏡、新聞、雑誌などは、使用後すぐに定位置(専用の箱やラック)にしまう習慣をつけましょう。 |
| 【盲点】配線コード・延長コード | テレビや充電器のコードは、壁沿いに固定するか、専用のコードカバーで覆い、足に引っかからないようにしましょう。 |
| 敷物・ラグ | ラグや玄関マットの端がめくれていないか確認し、裏に滑り止めシートやテープを必ず使いましょう。 |
| 暗がり・照明 | 夜間、トイレに行く動線など、足元が暗い場所に人感センサー付きのフットライトを設置し、足元を確保しましょう。 |
| 立ち上がりの補助 | ソファや椅子から立ち上がる際、掴まることのできる安定した家具があるか確認しましょう。 |
小さな注意で「いつまでも元気」を守る
私の肘の痛みは、たまたま軽い打撲で済みましたが、一歩間違えれば骨折や、最悪の場合、寝たきりにつながる事故でした。
自宅での転倒を防ぐことは、単に怪我を防ぐだけでなく、「いつまでも自立した生活を送る」ために最も重要な予防策です。
「私は大丈夫」という油断こそが、最大の敵です。この記事を読み終えたら、ぜひ一度、ご自宅のリビングを「危険予知」の目でチェックしてみてください。
小さな安全対策の積み重ねが、私たちの未来を守ります。どうぞ、ご自身とご家族の安全のために、無理せず、できることから始めていきましょう。






