ビタミンCは化学名をアスコルビン酸(ascorbic acid)といい、
水溶性ビタミンの1つです。人間は、体内のビタミンCが
欠乏すると、倦怠感、疲労感、食欲不振といった症状がでて、
からだの各部位からの出血といった症状に陥ります。
ビタミンには、細胞の結合組織にあるコラーゲンの合成を助けるなど、
からだの機能を調節して、さまざまな化学反応を助ける役目があります。
また、強い抗酸化作用があるのも特徴で、活性酸素の働きを抑えて
細胞の老化を防ぎます。
動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中、がんなどの酸化ストレスに由来する
様々な疾患の予防に効果があると考えられています。
ビタミンCが多く含まれる食べ物
さて、成人の1日に摂取が必要なビタミンの量は
どのくらいなのでしょうか?
今回はビタミンCを例にとり、調べてみました。
独立法人「農畜産業振興機構」のよると、ビタミンCの
1日の推奨摂取量は100mgです。
文部科学省が公表している「日本食品標準成分表2015年版」によると、
ビタミンCが多く含まれる食物TOP10は下記の通りです。
- 第1位: アセロラ 酸味種 生 ビタミンC 1700mg
- 第2位: <その他> 青汁 ケール ビタミンC 1100mg
- 第3位: <香辛料類>パセリ 乾 ビタミンC 820mg
- 第4位: アセロラ 甘味種 生 ビタミンC 800mg
- 第5位: <茶類> (緑茶類) せん茶 茶 ビタミンC 260mg
- 第6位: グァバ 赤肉種 生 ビタミンC 220mg
- 第7位: グァバ 白肉種 生 ビタミンC 220mg
- 第8位: あまのり 焼きのり ビタミンC 210mg
- 第9位: (ピーマン類) トマピー 果実 生 ビタミンC 200mg
- 第10位: あまのり 味付けのり ビタミンC 200mg
- 第11位: (ピーマン類) 赤ピーマン 果実 油いため ビタミンC 180mg
- 第12位: (ピーマン類) 赤ピーマン 果実 生 ビタミンC 170mg
- 第13位: あまのり ほしのり ビタミンC 160mg
- 第14位: (かんきつ類) ゆず 果皮 生 ビタミンC 160mg
- 第15位: (ピーマン類) 黄ピーマン 果実 油いため ビタミンC 160mg
- 第16位: めキャベツ 結球葉 生 ビタミンC 160mg
- 第17位: (ピーマン類) 黄ピーマン 果実 生 ビタミンC 150mg
- 第18位: キウイフルーツ 黄肉種 生 ビタミンC 140mg
- 第19位: (なばな類) 和種なばな 花らい・茎 生 ビタミンC 130mg
- 第20位: とうがらし 果実 生 ビタミンC 120mg
こうしてみると、ある事実に気が付きます。
ベスト20に、レモンが入っていないのです。
レモンはビタミンCのトップオブトップだと思っていました。
なぜでしょう?
レモンをビタミンCの王様と思い込んだ原因
私たちがレモンをビタミンCの王様だと思い込んだ原因は、
様々な商品広告によるところが大きいです。
例えばサントリーが1986年に発売し、当時大ヒットを飛ばした
清涼飲料水「はちみつレモン」、
1980年に明治製菓から発売された「ハイレモン」、
1日分のマルチビタミンとのキャッチセールスでヒットした
「デカビタC」など、多くの企業が
「ビタミンC」=「酸っぱい」=「黄色」
というイメージで、販売戦略をとりました。
ビタミンCのサプリメントの広告を見ると、よく
「レモン〇〇個分のビタミンC」といったキャッチコピーが
ついていることからも、ビタミンはレモンが王様という認識が、
日本人の脳に強くインプットされていることがわかります。
しかし実は純粋なビタミンCの味は、強い酸味ではありません。
柑橘類が酸っぱいのは、ビタミンCの酸味ではなく、
一緒に含まれているクエン酸の酸味です。
ビタミンCを多く含むものが、必ずしも酸っぱいとは限らないということが、
上記のランキングからわかると思います。
ビタミンCで老化を予防
さて、話を戻しましょう。
ビタミンCには強い抗酸化作用があるので、老化の防止につながります。
わたしたちの細胞は、呼吸により取り込んだ酸素を利用して
エネルギーを産生しますが、その道程で、酸素が還元され、
「活性酸素種」が生じます。
活性酸素種は、タンパク質や脂質、DNAを酸化させますので、
結果、多くの老化関連疾患(糖尿病等)を
悪化させてしまいます。
老化とビタミンCの関係を調べるため、
マウスを用いた実験が行われました。
マウスをビタミンCが不足した状態にして、
長期間観察した結果、普通のマウスの平均寿命が24か月だったのに対して、
ビタミンCが不足したマウスの平均寿命は6か月と約1/4になったそうです。
以上のことから、ビタミンCが不足すると、全身の様々な臓器で
老化が速まると言えます。
しかし反面、わたしたちが必要なビタミンC量を摂取することができれば、
からだの老化を遅らせることが可能なのです。
ビタミンCは水に溶けやすく、熱や空気に弱いとい性質があるため、
野菜を長時間水にさらしたり、ゆでたりすると大幅に減少してしまいます。
保存は短時間にとどめて、購入後は早めに消費することで、より多くのビタミンCを
摂取することができます。
しっかりビタミンCをとり、いつまでも元気に人生を楽しめるように
健康寿命を少しでも伸ばしましょう。