三重県津市、香良洲町海岸。 その場所に立ったとき、最初に感じたのは、いわゆる観光パンフレットにあるようなキラキラとした「リゾートの海」とは違う、独特の重みと静けさです。

ここは、雲出川が伊勢湾に注ぎ込む場所。 海と砂と空。要素はそれだけなのに、どこか心を捉えて離さない「香良洲海岸」の風景を綴ります。
踏みしめる「重さ」と、飾らない砂浜
松林を抜けると現れるのは、キラキラと輝く白い砂浜ではなく、水分を含んでどっしりと横たわる、少しグレーがかった砂浜です。
一歩足を踏み入れると、ズシリと沈むような感触。 「重そうな砂浜」――そんな言葉がふと浮かびます。 一般的な砂浜にある明るさはないけれど、その重さはこの土地が長い時間をかけて川と海から運んできた土の堆積を感じることができます。
波音も、どこか湿り気を帯びて低く響く。 ここにあるのは、明るい開放感ではなく、ありのままの自然が広がる、飾らない「海」の姿です。
雲出鋼管方面の工場群と、此処にある「隔絶感」
波打ち際に立ち、海を眺めます。 視線の先、南側の雲出鋼管の方へ目を向ければ、工場の煙突やクレーン、あるいはマンションのようにも見える巨大な構造物の塊が、霞の中に浮かんでいます。
あちら側には、確かに巨大な産業や人々の営みがある。 けれど、こちら側にはただ、重たい砂と風があるだけ。
その対比が、奇妙なほどの「隔絶感」を際立たせます。 すぐ近くに街があるのに、世界から少しだけ切り離されたような、ぽつんとした感覚。 今風の言葉を借りるなら、それはとても「エモい」風景と言えるのかもしれません。

静寂を楽しむ、大人の海岸
派手な色のパラソルも、賑やかな音楽もここには似合いません。 ただ、遠くに見える工場地帯のシルエットと、足元の砂の感触を味わう。
華やかな絶景を求めて行く場所ではありません。 けれど、一人で静かにぼんやりしたいとき、あるいは誰かと語り合うでもなくただ並んで歩きたいとき。 この少し重たくて、飾り気のない海は、そのままの自分を受け入れてくれる気がします。
ちょっと何かに疲れたときは、おすすめの海岸です。






