皆さん、こんにちは! 全4回にわたる関宿の歴史をひも解く旅も、いよいよ最終回となりました。今回は、これまでの話を振り返りながら、現代の関宿に息づく歴史の面影と、未来への展望についてお話ししたいと思います。
これまで見てきたように、江戸時代の関宿は、東海道と伊勢参宮街道が交差する交通の要衝として、また、本陣・脇本陣・旅籠・木賃宿といった多様な宿泊施設が立ち並ぶ宿場町として、大いに繁栄しました。遠方からお伊勢参りにやってくる庶民の夢を支え、高品質な火縄の生産地としても名を馳せました。宿役人たちの手によって宿場の秩序が保たれ、旅人たちは安心して旅を続けることができました。

明治時代に入り、鉄道の開通や交通網の変化によって、宿場町としての役割は次第に薄れていきましたが、関宿はその歴史的景観を大切に守り続けてきました。現在、関宿の旧東海道沿いには、江戸時代から明治時代にかけて建てられた町家が約200棟も残されており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
これらの町並みを歩くと、まるでタイムスリップしたかのような感覚に包まれます。当時の旅人たちが歩いたであろう石畳の道、格子戸の続く町家、そして軒先に吊るされた暖簾。一つ一つが、関宿の豊かな歴史を物語っています。
その中でも特に訪れていただきたいのが、関宿旅籠玉屋歴史資料館です。ここは、江戸時代に実際に旅籠として営業していた建物を保存・公開している非常に貴重な施設です。玉屋は、創業が江戸時代中期に遡るとされる由緒ある旅籠で、明治時代以降も旅館として営業を続け、昭和40年代まで実際に使われていました。



玉屋のような大規模な旅籠では、まさに「寝る間もないほど」の賑わいがあったと想像されます。東海道を行き交う大勢の旅人、特にお伊勢参りの時期には、一日数百人もの旅人が宿を求めて押し寄せたと言われています。部屋が足りず、廊下や広間にまで布団を敷いて宿泊する「雑魚寝」も珍しくなかったとか。番頭の威勢のいい声が響き、旅人たちの話し声や笑い声、そして台所からは旅人の胃袋を満たすための湯気と香りが立ち上り、活気に満ちた宿場の中心となっていたのでしょう。
資料館では、帳場や客間、台所、そして実際に旅人たちが泊まったであろう部屋などが往時の姿そのままに再現されており、当時の旅籠の活気や旅人たちの暮らしぶりを肌で感じることができます。展示されている資料や道具からは、宿場町の生活や、旅人たちがどのようなものを携帯していたかなど、興味深い発見がたくさんあるはずですし、玉屋の建物自体が関宿の歴史を語る生き証人として、私たちに多くのことを教えてくれます。
現代の関宿では、これらの歴史的建造物を活用したカフェや土産物店などが営まれており、多くの観光客が訪れています。かつての旅人たちのように、関宿で一息つき、歴史の息吹を感じる時間は、私たち現代人にとっても、かけがえのないものとなるでしょう。
関宿は、過去の繁栄の上に立ち、その歴史と文化を未来へと繋いでいます。これからも、多くの人々に愛され、語り継がれる宿場町であり続けることでしょう。
全4回にわたり、関宿の歴史の旅にお付き合いいただき、ありがとうございました!ぜひ一度、関宿を訪れて、ご自身の目で歴史の面影を感じてみてください。






