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2025[Sun]
09.28

シリーズ第1回:「うちは財産がないから関係ないわ」で本当に大丈夫ですか?

相続



「ねえ、あなたのところ、どう? 最近、相続の話とか家族でしてる?」

先日、友人のAさんとの久しぶりのランチで、ふとこんな話題になりました。

「うち? まったくよ。だって、そんなに財産がないんだもん。自宅と、少しの貯金くらい。相続トラブルなんてお金持ちの話でしょう?私は関係ないわ(笑)」

Aさんはさばさばと笑っていましたが、あなたも同じように思っていませんか?

実は、この「うちは財産が少ないから大丈夫」という考え方が、一番危険な落とし穴だと知ってほしいのです。

昭和から現在へ。相続トラブルは増え続けている

かつては「相続争いはお金持ちの話」と言われた時代もありました。しかし、今の日本で家庭裁判所に持ち込まれる相続トラブルの多くは、く普通の、財産額がそれほど多くない家庭で発生しています。

その実態は、裁判所が毎年公表している司法統計のデータを見ると明らかです。

家庭裁判所へ新たに申し立てられた「遺産分割」の調停・審判事件の件数は、この半世紀で驚くほど増加しています。

時期遺産分割事件の件数(新規受付合計、概算)
昭和24年(1949年)約1,100件
昭和50年頃約4,000件〜6,000件
平成12年頃(2000年頃)約9,000件
令和7年頃(最新)約15,000件

(出典:最高裁判所事務総局「司法統計年報 3家事編」より。数値は概算)


昭和24年から令和7年までで比べると、実に14倍以上に増加しているのです。特にバブル崩壊後の平成に入ってからは、年間1万件を超える水準で高止まりしています。

「財産が少ないから揉めない」は過去の話

これほど件数が増えている背景には、「財産が少ない家庭でも揉める」という現実があります。

裁判所へ持ち込まれた遺産分割事件の争いの内訳を、遺産総額別に見ると、この傾向がよくわかります。

遺産総額遺産分割事件に占める割合(概算)
1,000万円以下約34.7%
1,000万円超~5,000万円以下約42.9%
5,000万円超~1億円以下約13.6%

(出典:最高裁判所事務総局「令和7年 司法統計年報 3家事編」より推定)

遺産総額5,000万円以下のごく普通の家庭が、争い全体の約8割を占めているのです。

これは、ご自宅(土地・建物)の評価額と、わずかな預貯金しかないといったごく一般的なご家庭こそが、相続トラブルの当事者になっているということを示しています。

なぜ、財産が少ないと揉めるのか?

「自宅くらいしかないのに、なぜそこまで揉めるの?」


最大の原因は、「分けにくい財産」、特に「不動産(自宅の土地・建物)」が中心になっていることにあります。トラブルになった遺産の約8割で不動産が関係しているというデータもある通りです。

自宅は現金のように「きっちり3分の1ずつ」と分割できません。

  • 誰か一人が住み続けるなら、他の相続人にいくらお金を渡すか?
  • 売却して現金を分けるにも、住んでいる人の合意と引っ越しが必要。

といった問題が必ず発生します。これらの問題を解決しようと、それぞれの立場からの「感情的な思い」がぶつかり合い、「自宅」という小さな財産が家族間の対立のシンボルになってしまうのです。

まとめ:何も準備せずに迎えるリスク

何の準備もせず、話し合いのルールもないままご両親の相続を迎えてしまうと、それが悲しい「争続」に変わってしまうリスクを常に抱えています。

その際のリスクは、単に財産をめぐる争いだけにとどまりません。

  1. 家族・親族との関係が破壊される
  2. 実家などの不動産が凍結され、誰も利用・処分できない
  3. 争いの解決のために、弁護士費用や裁判所への出廷など、余計な時間とお金がかかる

そして、もう一つ、財産が少ない家庭でも直面する重大なリスクがあります。それが「借金」です。

相続は、財産(プラスの遺産)だけでなく、借金(マイナスの遺産)も引き継ぐことになります。もし多額の借金があったり、あなたが知らぬ間に連帯保証人になっていたりしたら?

この見過ごされがちなリスクこそ、準備無しで相続を迎える家庭を最も苦しめる場合があります。


次回予告 第2回は、「財産がないから大丈夫」が通じないもう一つの恐ろしいリスク。【財産だけじゃない!親の死後、突然背負うかもしれない「借金と連帯保証人」のリスク】について、会話形式で分かりやすく解説します。


シニア向け住宅アドバイザー ライター:添田 浩司

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