8月28日は「テレビCMの日」です。そこで今回は、私たちを夢中にさせたCMの数々を、じっくりと紐解いていきたいと思います。
私の記憶に残っているいくつかのCMについて語っていきます。 4番目に紹介するのは、ネスレの「ネスカフェ・ゴールドブレンド」です。
「違いがわかる男」
「ダバダー、ダバダー」という、意味不明なBGM。そこに、北大路欣也や高倉健といった、いかにも「本物」と称される男たちが登場すると、なぜか知的な雰囲気が出てきて、ダバダーも不思議と高級感のある言葉に聞こえてくる・・・・・。(CM放送年代:1970年代~80年代)
このCMが画期的だったのは、コーヒーの味そのものではなく、「それを飲む自分」というステータスを売った点にあります。物質的な豊かさに飽き始めた当時の私たちは、次に何を求めたのか。それは「人と違う自分」「本物を見抜く感性」といった、目に見えない優越感でした。
このCMは、そんな大衆の心の隙間を正確に捉えました。コーヒーの味なんて正直よくわからない人でも、これを飲んでいれば「違いがわかる男」になれる。そんな夢を消費者に届けたわけです。タレントの品格を、そのまま商品のブランドにするという、ある種の狡さ巧みさ。それが、このCMが今も語り継がれる理由かもしれませんね。
さて、ネスカフェ・ゴールドブレードの洗練されたCMを堪能した後は、バブルが私たちに植え付けた、最高傑作の「嘘」に目を向けてみましょうか。
5つ目にご紹介するのは、JR東海の「クリスマス・エクスプレス」です。
「雨は夜更け過ぎに、雪へと変わるだろう」
山下達郎のベタ甘い名曲「クリスマス・イブ」をBGMに、牧瀬里穂さんが恋人のもとへひたすら走る。(CM放送年代:1989年)
このCMシリーズは、「日本のクリスマスを創り上げた」なんて言われていますが、まあ、それは都合のいいフィクションです。
正直に言って、こんな青春を過ごした人は、ほとんどいなかったのではないでしょうか。 (そうですよね!?)
当時、クリスマスの夜といえば、駅は大混雑、新幹線は身動きが取れないほど超満員。CMのように、人混みをかき分けて恋人のもとへたどり着くロマンスなど、そうそう起こりえない。
このCMは、そんな現実を完璧に無視して、ただひたすらに「理想のクリスマス」を提示しました。新幹線は単なる乗り物ではなく、愛を確かめるための舞台装置。駅のホームは恋人と運命の再会をする場所。そうした「キラキラした嘘」を、私たちは何の疑いもなく受け入れました。 このCMが売っていたのは、商品としての新幹線ではなく、「クリスマスに恋人と会うことのロマン」という、言葉にできない感情そのもの・・・・・。
よく考えてみると、マーケティング広告の教本の様なCMだったのかもしれません。
次回は本シリーズ最終回です。日本中のみんながきらきらしていた、バブル絶頂期。その時の若者の頂点の理想のイメージを表現した、コカ・コーラの名作をご紹介します!






